診療放射線技師で転職6回!65歳再雇用の私が教える『一生食いっぱぐれない』キャリアの築き方

私は、65歳男性、東京都出身で、診療放射線技師として400床以上の総合病院、100床程度の消化器専門病院、健診センターなどなど様々な医療施設で働いてきました。

現在は地方都市のクリニックで、再雇用契約で働いています。

一人娘は嫁ぎ、可愛い孫も生まれ、年金を受給できる年齢になり名実ともに「お爺ちゃん」となりました。

そんな私が今でも働き続けている理由 それは経済的な不安だけでなく、社会との繋がりを持っていたいと考えているからです。

ネットもスマホもなかった時代から計6回の転職を経験してきた私が、激動の医療現場を生き抜いて分かった『放射線技師のリアルなキャリアと働き方』についてお話しします。

スマホがない時代の転職はどうだった?私の泥臭い情報収集法

専門学校を卒業して国家試験に合格。晴れて診療放射線技師(以下、RT)という看板を手に入れたのですが、学生時代の私はアルバイトに明け暮れ、勉強がおろそかになり卒業ラインぎりぎり。

そのため就職活動は後回し。学校からも就職先の斡旋(あっせん)はしてもらえませんでした。

何とか国家試験に合格したものの、当時は今のようにスマホで求人を探せる時代ではありません。まともな正職員の就職先は見つからず、学校から紹介されたのは、病欠している方の補充要員という「アルバイト」の枠でした。

学生時代、病院実習で体験はしていましたが、実際に自分が主導してX線撮影をするのは初めてで、毎日ドキドキしたことを覚えています。

アルバイト先の仕事にも慣れて来た頃、私にとって初めての転職のきっかけをくれたのが、その病院の先輩RTでした。

「私の主人が勤めている病院でRTを募集しているらしいので、行ってみたら?」

の一言。すらっと背の高い美人RTで、当時の私にはまるで女神様(ずいぶん昔のことなので、美化し過ぎかもしれませんが笑)のように見えました。

さっそく紹介された病院に連絡をとり、面接の後、めでたく採用決定。もう少しこの美人RTと一緒に仕事をしたいという気持ちもありましたが、新天地へ進むことに。

記念すべき最初の転職は、「職場の先輩からの紹介」という、まさにネットがない時代ならではの人との繋がりがもたらしてくれた縁でした。

一般的な条件よりも大切な「自分自身の軸」

転職するにあたって妥協したくない条件は人それぞれ、たくさんあると思います。給与、当直や呼び出しの回数、人間関係、あるいは最新の医療機器があるかどうか……。

しかし、6回の転職を経験した私が断言する一番のポイントは、「自分が今、何をしたいのか、何を欲しているのかを明確にすること」です。

エピソード:同期からの「損するぞ」という言葉

昔、同期のRTにこう言われました。
「そんなにコロコロ転職しても良いことないぞ、損するだけだ」

確かに、退職金や勤続年数の面では損をしたかもしれません。しかし、私の目的はそこ(目先の安定)ではありませんでした。

400床の総合病院に転職したころは、とにかく「様々な検査や治療に携わりたい」という希望に燃えていました。当時はCTが世の中に普及し始めたばかりのころで、1スライス撮影するのに数秒かかっていた時代です。私が他の病院で見た装置には、頭部1スライスを撮影するのに90秒もかかっている現役の装置すらありました。

CR(コンピューター放射線撮影)にいたっては、処理装置だけで大きな部屋が丸ごと一つ必要な時代。胸部写真の処理に60秒ほどかかっていたような気がします。それでも当時は最先端でしたから、各地からよく見学者が来られていました。見学の方々が持ってきてくれるお菓子をみんなで食べるのが、当時のちょっとした楽しみでもありました(笑)。

3年で仕事は覚える。その先、あなたは何を欲するか?

どんな最先端の職場でも、3年も一生懸命働けば、その職場の仕事はほぼ覚えられます。裏を返せば、「覚えなければならないことが無くなってしまう(成長が止まる)」ということです。

そんな時、立ち止まって自分に問いかけるのです。「自分は今、何をしたいのか?」と。

私の場合は、「もっと消化管検査を極めたい」「もっと勉強して学会で発表したい」という強い欲求(目的)が、次の新しいステージ(消化器専門病院)へと私を突き動かしました。

全身に電流が走った「教科書レベルの注腸写真」との出会い

次の転職のきっかけは、X線装置メーカーの営業さんからの、あるお誘いでした。
「〇〇病院に凄腕のRTがいて、その人が撮る注腸検査の写真はどれも教科書に載るレベルのものなのですよ。一度見学へ行きませんか?」

以前から消化管造影検査が好きで、勉強会があれば仕事終わりに1時間かけてでも通っていた私です。その甲斐あって「好き」が得意に変わり、上部消化管造影検査では先輩RTからも一目置かれる存在になっていました。

しかし、それまで医師が行う注腸検査の透視や撮影の「補助」はしていても、自分自身が主導してやったことはありませんでした。ワクワクしながらメーカーの方と〇〇病院へ向かい、その凄腕RTの検査を目の当たりにしたとき、全身に電流が流れたほどのショックを受けました。

「私はこの技術を、何としても自分のものにしたい」

当時の総合病院に転職して3年半が過ぎ、一通りの仕事を覚えてしまっていたこと。新しい装置の更新予定もなかったこと。上部消化管検査では一番年下の私が、先輩RTに教える立場になっていたこと……。今考えるとどれも一時的なことで、当時の私のただの思い上がりだったのかもしれません。

しかし、あの注腸写真が撮れるようになりたいという思いで頭がいっぱいになってしまった私は、上司に退職を相談しました。案の定、上司からは「お前にはまだまだ教えたいことが山ほどある。考え直してくれ」と引き止められました。

それでも若かった私は、そんな忠告をされてもなんのその、勢いで退職願を提出。たまたま運良く〇〇病院に欠員が出たため、これが私の2度目の転職となりました。

58歳での挫折と、1人勤務の病院への転職

実は私の場合、一般的な「同じ病院で定年を迎えてそのまま再雇用」というルートとは、少し毛色が異なります。

以前はRTが4〜5人いる病院で「技師長」という管理職を務めていたのですが、58歳のときに人間関係のトラブルが原因で退職することになったのです。ベテランと呼ばれる年齢になってからの退職は、心身ともに決して楽なものではありませんでした。

その後、職安(ハローワーク)で偶然見つけたのが、20床程度の古い病院の求人でした。そこは正職員としての採用ではありましたが、放射線技師は私だけの「1人勤務」の環境。

しかし、前職の人間関係に疲れ切っていた私にとって、誰にも気を使わずに自分のペースで仕事ができるこの環境は、驚くほど心地よいものでした。精神的にはとても安定していったのを覚えています。

自由が利かない不便さ、それでも戻ってきた「仕事への愛」

もちろん、いいことばかりではありません。1人勤務ですから当然、以前よりも給料は下がりました。自分が休むと検査が回らなくなるため、自由に有給休暇を取ることも難しく、有休をもらう際にはヘルプに来てくださる外部のRTさんとのスケジュール調整ややり取りも、自分で行う必要がありました。

それでも、私にとっては素晴らしい環境でした。

なぜなら、不便さはあっても、私は本来この放射線技師という仕事が大好きであり、人との繋がりを持つことが大好きな人間だったからです。静かな環境で、目の前の患者さんやヘルプの仲間と誠実に向き合う毎日は、私の仕事への情熱を静かに、でも確かに再燃させてくれました。

経営陣からの評価、そして65歳現役の今

そうして自分らしく生き生きと働いているうちに、気づけば60歳の定年を迎えることになりました。

ここで嬉しい誤算が起きます。私の日頃の働き方や1人勤務での貢献を、経営側がとても高く評価してくれていたのです。再雇用の契約を交わす際、なんと「定年前とほぼ変わらない給与」を提示していただくことができました。

一般的に再雇用になると給料はガクッと下がると言われていますが、誠実に目の前の仕事と向き合っていれば、年齢に関係なく認められるのだと実感した瞬間でした。

それから5年が経ち、65歳になった今も、この場所でのんびりと大好きな仕事を続けられています。58歳のあのとき、勇気を出して環境を変えて本当に良かったと、心から思っています。

今の若い技師が羨ましい!「転職サイト」を賢く使うべき理由

もし、あなたが「今の職場に不満がある」「人間関係がつらい」と悩んでいるなら、一歩を踏み出す勇気が必要な時かもしれません。

若い頃の私は、「もっと技術を磨きたい」という自分の信念のようなものでガムシャラに転職を繰り返してきました。しかし、そんな格好いい理由ばかりでなくてもいいと私は思います。「このままこの職場にいたら、自分がダメになってしまうかもしれない」――そんな危機感から逃れるための転職だって、立派な正当理由です。

私の時代はスマホもネットもなく、職安や業者さんの紹介を通じて「偶然」良い職場に出会えましたが、それはただ運が良かっただけかもしれません。

その点、今の時代は本当に羨ましい環境が整っています。
手元のスマホひとつで、人間関係が比較的穏やかな職場、自分のペースで働ける1人勤務、体力を削られない当直なしの求人など、あなたの「ワガママな希望」に合う職場を、あらかじめ転職エージェントに探してもらうことができるからです。

これは利用しない手はありません。

「もう辞めてやる!」と勢いで退職届を出してしまう前に、ベッドの中でスマホをポチポチしながら転職活動を始めてみてはいかがでしょうか。私のように「人脈と幸運」に頼るスリリングな転職よりも、よっぽど安心・安全で確実です(笑)。

もし今の職場で悩んでいるなら、私のように58歳になってから大きな痛みを伴って動くのではなく、若いうちから自分の選択肢を広げておくことが大切です。

まずは無料の転職サイトに登録し、世の中にどんな求人があるのかをのんびり眺めてみることから始めてみませんか?それだけでも、「今の職場がすべてじゃない」と思えて、きっと心がフッと軽くなりますよ。

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